落ち葉談義も終わって帰ろうとすると、立派なお墓を見ながら和尚さんが話し始めた。 「人を殺めたり、泥棒をしたりした人は、お父さんや、お母さんと同じお墓に入れないんだよ」 「そういう人は、どこに入るんですか?」 「お墓の横に河原で拾って来た石があるだろう。その下に入るんだよ」 「そこの楠の木の横にある棒が立っていますが、それはなんですか?」 「もっと悪いことをした人が入るお墓だよ」 「えっ」 人を殺めたり、泥棒をすることより、もっと悪いことってなんだろうと考えたが思いつかなかった。すると、和尚さんは、また、ゆっくり話し始めた。 「それはね。自殺をした人のお墓なんだよ。自殺は人を殺めたり、泥棒をしたりした人以上にもっと罪深いことなんだ」 「どうしてですか?」 「せっかく、いただいた命を自ら断つと言うことは、自然の摂理に背いている。そして、お父さん、お母さんを悲しませる。友だちや先生も悲しませる。自分だけの問題だと思ったら大間違いなんだよ」 この話は、ある講演会で聞いた話をまとめました。