最近、学歴フィルターという言葉が新聞を賑わせています。1966年(昭和41)年に、当時、ソニーの社長だった成田昭夫さんが「学歴無用論」という本を執筆しました。ちょうど、日本が高度成長期に差し掛かろうとしていく時期で、実力主義のアメリカ生活が長かった盛田さんは、日本の学歴偏重の風潮に危機感を持ちました。 「激しい競争社会のさなかにあって、実力で勝負しなければならないというのに、そこで働いている人は、入社前に受けた『場所(大学)』で評価されるのは、どう考えても納得がいかない」それ以降、ソニーでは、履歴書から出身大学の記述をすべて削除したそうです。その後、日本のGDPは、順調に伸びて2年後の1968年には、アメリカについで世界第2位になりました。 今、日本の経済は低迷しています。GDPは2010年に中国に抜かれてその差は開くばかりです。人生100年の時代、たった4年間、どこの大学で過ごしたかで残りの人生が決められてしまうのは、私も納得ができません。これから伸びる才能の芽を見つけ出し、人を正しく評価することをしないと、日本は、ますます衰退していくのではないかと思います。出身大学で人の価値を決めてしまう学歴フィルターがもてはやされる風潮には疑問を感じます。 (参考)学歴無用論 成田昭夫著 朝日文庫 1987年