<<エントロピーの法則(20190411)>>
コンピュータ上のデータを守るためのハッシュ関数というものがある。ある文字列をこの関数にかけると、訳の分からないデタラメな暗号になる。コンピュータを使うときの鍵になるパスワードは、この関数で暗号化されている。これからから元の文字列を導き出すことは簡単には出来ない。これは一方向性関数と呼ばれている。人生において、ほとんどのことは、この一方向性関数ではないかと最近思ようになった。うなぎを捕る道具に「うなぎ筒」というものがある。餌の匂いにつられて筒に入ると後戻りできなくなり捕まってしまう道具だ。これも後戻りできない一方向性だ。
タレントのピエール瀧がコカインを飲んで捕まった。才能のある人だったのでショックを受けた。一度、麻薬を飲んでしまうと止めることは並大抵のことではないらしい。最初は、風邪の症状が取れますよ、とか、疲れが和らぎますよ、という軽い言葉に釣られて飲むらしい。でも、一度飲んでしまうと止められなくなってしまうらしい。麻薬を使うと反社会的行為として逮捕されるが、詐欺や窃盗などのように留置所に入って反省すれば更生できると言う簡単なものではないらしい。一度やってしまうと、脳に浸み込んでウイルスのように脳細胞を侵していく。病院に入らないと治らないという。麻薬で捕まった時に、多くの人が警官に「ありがとう」と言うらしい。これで、麻薬地獄から開放されるという安堵感から出る言葉だろう。麻薬を飲む前の生活に戻りたいとみんな考えているそうだ。「薬止めますか、人間止めますか?」というのは、自死を助長する最悪の標語らしい。そんなに簡単な話ではないということだ。麻薬常習は、犯罪というより病気に近いからだ。これも一方向性関数ではないのか。
時間は前に進むだけで決して過去には戻れない。タイムマシンの話では、過去をイジるのはタブーとされている。人は年をとるに従って老いていくが若くなることは決してない。髪の毛も白くなり数も減っていく。朝起きたら昨日より若返っていたということは絶対にない。若返りの水を飲みすぎた村人が赤ん坊になったという昔話を読んだことがあるが、こんなことはあり得ない。人が住まないと家は汚れて行くし朽ちて行く。このような廃家が急速に増えていて社会問題になっている。根には少子高齢化がある。人が住んでいれば10年以上経っても家はそんなに痛まない。里山も人が手を入れているうちは秩序が保たれて荒れることはない。
世の中には、エントロピー増大の法則という普遍的な物理法則がある。熱力学の法則第二法則とも言われている。熱力学の第一法則は、エネルギー保存則。何もないところからは何も生まれてこないという話。熱力学の第二法則は、熱いところと冷たいところがあった時、熱は熱いところから冷たいところに流れて最後は同じ温度になるという法則である。エントロピーの法則は、この熱力学の第二法則と同じものと理解している。部屋は放っておく散らかっていく。きれいに片付いていくことは絶対ない。生活していくとゴミが増えていく。その典型的なものが産業廃棄物。便利に使える製品を作れば作るほど、ゴミが増えていく。
エントロピーは、乱雑さの度合いと考えられ、エントロピーが増えるということは、乱雑さも進むということである。諸行無常、万物は移り変わって行くのと同じでエントロピーは必ず増大する。宇宙は、ビッグバンで生まれたと信じられている。大昔に大きな爆発があり、どんどん膨張して今の宇宙が出来上がった。最初、極寒の宇宙に線香花火の玉のような熱いものが突然現れて爆発を起こして広大な宇宙に拡散した。その玉は冷えていき、逆に宇宙は温まっていく。それが今でも続いている。宇宙の最後はどうなるのか。熱いものも冷たいものもなく同じ温度になり平衡状態になり安定する。それが宇宙の死である。何百億年も先の話である。
年をとって人が老いて白髪になっていくのも、古くなって家が朽ちていくのも、このエントロピーの法則に支配されているからだ。 石原慎太郎は、「老いてこそ人生」というエッセイの中でこんなことを言っている。「老いを食い止めることはできない。でも、健全な精神が老いた肉体を守ってくれる」と。久しぶりに旧友に会うと「元気か」と声をかける。猪木は、「元気があれば何でもできる!」と言った。元気を保つことが老いを食い止めることではないのか。
100歳以上生きた日野原さんは、お年寄りに元気を与えるメッセージを発信するために90歳近くになってFacebookを始めた。スケジュール表には10年先までの予定がびっしりと書き込まれていたらしい。決して老いたという弱音をはかなかった。元気がなくなって守りに入った途端、エントロピーの法則に吸い込まれて土に還っていくのではないか。エントロピーの法則を覆すことができるというマクスウエルの悪魔は、元気な健全なる精神ではないのかと最近考えている。
エントロピーは、乱雑さの度合いと考えられ、エントロピーが増えるということは、乱雑さも進むということである。諸行無常、万物は移り変わって行くのと同じでエントロピーは必ず増大する。宇宙は、ビッグバンで生まれたと信じられている。大昔に大きな爆発があり、どんどん膨張して今の宇宙が出来上がった。最初、極寒の宇宙に線香花火の玉のような熱いものが突然現れて爆発を起こして広大な宇宙に拡散した。その玉は冷えていき、逆に宇宙は温まっていく。それが今でも続いている。宇宙の最後はどうなるのか。熱いものも冷たいものもなく同じ温度になり平衡状態になり安定する。それが宇宙の死である。何百億年も先の話である。
年をとって人が老いて白髪になっていくのも、古くなって家が朽ちていくのも、このエントロピーの法則に支配されているからだ。 石原慎太郎は、「老いてこそ人生」というエッセイの中でこんなことを言っている。「老いを食い止めることはできない。でも、健全な精神が老いた肉体を守ってくれる」と。久しぶりに旧友に会うと「元気か」と声をかける。猪木は、「元気があれば何でもできる!」と言った。元気を保つことが老いを食い止めることではないのか。
100歳以上生きた日野原さんは、お年寄りに元気を与えるメッセージを発信するために90歳近くになってFacebookを始めた。スケジュール表には10年先までの予定がびっしりと書き込まれていたらしい。決して老いたという弱音をはかなかった。元気がなくなって守りに入った途端、エントロピーの法則に吸い込まれて土に還っていくのではないか。エントロピーの法則を覆すことができるというマクスウエルの悪魔は、元気な健全なる精神ではないのかと最近考えている。
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