家内の中学時代の友だちに、アメリカ人と結婚してフロリダに住んでいる人がいる。その家族が一年に一 度だけ、子どもの夏休みを利用して帰国する。その時、みんなが集まって子どもたちを遊ばせる会が行われている。私は、今回、始めて参加したが、なかなか面 白かった。会場は、八景島シーパラダイスに近い海の公園という所だ。自転車でくる人、シーサードラインという電車で来るもの、自動車でくるもの、と様々な 交通手段を使って集まってくる。
子どもたちは、もうすぐ3歳になるうちの息子が一番チビで、一番大きい子が中学生だ。10人も子ども が集まるとかなりやかましい。そこで何をやるかというと、エッグハントという遊びだ。ヨーロッパが発祥の遊びで、イースターエッグとも呼ばれていているら しい。イースターのお祭りに、子どもの成長を願う目的で昔から行われてきたものだ。欧米では、かなりポピュラーな遊びで、町のスーパーでもエッグハントに 使うプラスチックの卵が売られているということだ。
色とりどりのプラスチックの卵型の容器の中に、子どもが喜びそうな、チョコやガムをいれる。それを親 たちが、見つからないように隠す、それを子どもたちが探す、という単純な遊びだ。スーパーのビニール袋を手にした子どもたちは、獲物を狙うハンターのよう に鋭い目つきで卵を見つけては袋に入れる。親たちが苦心して隠した卵もあっという間に見つかってしまう。準備には時間がかかるが、5分くらいで遊びは終 わってしまった。子どもたちは、戦利品の卵を開けてすぐに食べ始める。卵の中に当たり券が入っていると別のプレゼントがもらえると言う楽しみもあった。
これが終わると、本物のゆで卵にペイントして人形をつくる。このためにキットが用意されている。卵を 染める食紅などを使った染料、染めた卵を引き上げる針金でできた道具、卵にかぶせる帽子、目や鼻の形をしたシールなどがそろっている。子どもたちは、今度 は芸術家になって卵人形を完成させていく。子どもたちの自由な発想で作られた人形はユーモラスでこのままとっておきたいと思うくらいである。しかし、その 卵人形は、殻を割られて味塩をつけて食べられる運命にあった。
エッグハントが終わってからは、お母さんたちのおしゃべりタイムとなる。これが、この会の本来の目的 ではないかと思われるほど、みんな楽しそうだった。その間、子どもたちは、波打ち際の岩場でカニをとったり魚をさがしたりして遊んぶことになる。フロリダ で育った兄弟は、日本語があまりできない。しかし、子どもたちはそんなことは無頓着に楽しそうに遊んでいる。娘が兄弟の一番下の男の子からお菓子をもらっ たとき、「ありがとう」と言った。その子にとって「ありがとう」は「アリゲータ」に聞こえたのだろう。それから、「アリゲータ」が彼の口癖になった。潮溜 まりに、クラゲが浮かんでいた。クラゲは英語でなんて言うんだろうと、子どもたちが考えていると、「アリゲータ」の男の子が、「ゼリーフィッシュ」と言っ た。そうか、クラゲは確かにゼリーに似ているな、とアメリカ人のシンプルな考え方に感心した。
今日の会費は600円ということだった。工夫しだいで、お金をかけなくても楽しめるものだ。しかも、日本とアメリカの子どもたちが、お互いに言葉を一つずつ覚えるという小さな国際貢献もできた。また、来年の再会を誓ってお開きとなった。(2005.7.6 廣瀬)
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