もう、何年、この時期に年賀状を書いているのだろうか。書く枚数が増えるにしたがって、手書き、版画、コピー、プリントごっこ、パソコンと変わってきた。効率を考えると、電子メールで送ってしまうのがいいのだろう。しかし、年賀状が電子メールになるとは、とうてい思えない。電子メールには重さがない。質感もぬくもりもない。デジタル技術を駆使して、どんなに年賀状に似せても偽ものは偽ものだ。偽ものをもらってもありがたみがない。 高度情報化社会というのは、高度効率化社会と言い換えてもいいだろう。あるいは、高度偽もの化社会と言ってもいいかもしれない。偽ものが跋扈するような社会が良い社会とは思えない。人間は、本当は何を求めているのかを問われる時代になったのだと思う。何でも効率よく短時間で省労力でできることが善であると思われていた時代は終わったのかもしれない。 一枚一枚、年賀状を書いていて、年の瀬に思ったことである。