【特派員 高尾広志(横浜在住)】
私は、方向音痴。地下鉄に乗って地上に出るとどっちに行ったら良いかすぐに分からなくなる。旅行に行っても迷子になる。海外に行った時には、必ずホテルカードを持って外出する。道に迷った時にはタクシーの運転手に見せてホテルまで送ってもらうためだ。最近は、迷子になることが楽しくなってきた。道に迷って歩き回っているうちに思いもかけないキレイな景色や草花に出会ったりすることもある。セレンディピティも旅の楽しみの一つだと思う。
迷子になったら、自分で地図で調べるより、歩いている人に聞く方が手っ取り早いが、知らない土地で見知らぬ人に声はかけにくい。でも、勇気を出して声をかけてみると親切に道を教えてくれる。強面の人も話してみると親切な人が多い。田舎に行くと目的地まで一緒に行ってくれる人もいる。旅先でこういう人情に触れるとホッとする。
道を聞いて迷惑だと断る人は殆どいない。むしろ、喜んで教えてくれる人の方が多い。わが町の名所を訪ねてくれたことの感謝の気持ちもあるだろうが、道に迷って困っている人を助けて、ありがとうと言われた瞬間は、教えた方も喜びを感じているのではないか。戦後、道路がまだ整備されていない時代、歩きながらゴミを拾ったり、デコボコ道を直したりする道普請というボランティアをやっていた人たちがいたと聞いたことがある。生まれてきたからには、何かの役に立ちたい、これは、万人の願いなのではないかと思う。(20190625)
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