「リメンバー・ミー」の再放送を観ました。2017年にピクサー・アニメーション・スタジオが制作した子ども向けのアニメーションです。大人にとっても良い映画でした。この時期にこの映画を流したのは何らかの意図を感じました。(2022年3月4日 廣瀬隆夫)
キエフの聖アンドリーイ教会 |
ミュージシャンを夢見るギターが好きな少年ミゲルが、死んで骸骨になった先祖たちのいる「死者の国」に迷い込んで不思議な冒険をするというお話です。死者の国というのは、いわゆる天国のことです。
「リメンバー・ミー」は死という重いテーマを扱っています。そこに「二度目の死」という設定が出てきます。普通の死が肉体の死だとすれば、「二度目の死」は精神の死です。生きている人の記憶から、天国に行ってしまった人のことが忘れ去られたときが「二度目の死」となります。「二度目の死」が訪れると天国に存在できなくなり、その人は、木っ端みじんに消滅してしまうのです。「二度目の死」のエビデンスとして、映画では死者の写真が、家のどこにも飾られていないこととしています。
この映画に出てくる「死者の日」には家族や友人たちが集い、故人への思いを馳せて語り合います。日本では、春と秋にお墓参りをする「お彼岸」があり、夏には故人の魂が戻ってくるという「お盆」があり、一回忌、三回忌、七回忌などの「年忌法要」があります。自分という存在は自分だけで成り立っているのではなく、連綿と続く父母、祖父祖母・・・という家族が自分をこの世界に生んでくれたからだということを忘れないことは大切なことです。「死者の日」や「お彼岸」「お盆」という行事は、肉体が滅んだとしても、人の精神は何らかの形で残っていき、それが新たな未来の糧になることを忘れないためにあると思います。
映画のタイトルが「リメンバー・ミー ⇒ 私を覚えていて」であるのは、そのことを直接的に伝えたいからだと思います。音楽も、映画も、写真も、その人が存在していたことを後世に残すためのものです。人々が忘れずに思いを伝えていけば、たとえ肉体が滅んでも心はつながっていきます。思いをつなげることで家族の絆が一層強固なものになります。この映画はここを感動的に描いています。
夢を追いかけ自分らしく生きる少年ミゲルを応援し、家族も大切にして行く、伝統と新しい生き方は対立しない、むしろ、家族との歴史があってはじめて、自分らしい生き方ができる。この映画は、生きていく上で家族がいかに大切かを語っています。
ロシアやウクライナで毎日たくさんの人たちが亡くなっています。莫大なお金を使ってモノを破壊する兵器を作って街を壊し、そこで幸せに生活している家族を殺戮するという愚行が行われています。こんなことがあって良いのでしょうか。
た若いロシア軍兵士をウクライナ住民が慰労したという感動的な記事がTwitterに流れました。「武器をおいた兵士はウクライナ住民からもらったパンと暖かい紅茶を口にした。アドレスを聞いて住民がスマホで兵士の家族を呼び出すと、画面に年老いた母親の顔が現れた。兵士は涙を流した。隣にいたウクライナ住民もこれを見て涙を拭った」
プーチン大統領やゼンスキー大統領、ロシアやウクライナで戦っている兵士、世界中で戦争をしている人みんなは、家族とは何か、生きるとは何か、死とは何か、自分たちは何のために生まれてきたのかを、銃口を向ける前に考えてください。美しいキエフの町を壊さないでください。一刻も早く愚かな戦争が終わることを願っています。
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